さらば夏服、おはよう冬服
うだるような暑さと蝉の声と恐ろしいほど晴れた空が何回も通り過ぎて、冷たすぎる雨が降って金木犀が香る風が吹く季節になった。
寒くて起きれない。雨が冷たい。いい香り。靴下が微妙に濡れて、寒い。
「えー、今週から制服移行期間です」
朝の会で担任がそう言った。
早く言えよ、最悪、病んだ病んだ とヤジが飛ぶ。朝からブーイングの嵐である。
あ〜あ ぴえんぴえん、治安が悪い。
制服移行期間か。
夏服飽きてきたし、寒いし、もう冬服でいいかな。でも、今年は高校生として最後の年だから、ずっと着続けたい。でも、寒い。私は夏服の上にジャージを羽織っているが、それでも寒い。でも、可愛いからまだ着たい。でも寒い。でも着たい。でも寒い。
ぐるぐる考えた末、結局私は冬服を着て登校した。
なんてったって寒いのだ。寒さには抗えない。移行期間最終日まで夏服でいようと決意した私はどこへやら、真っ先に冬服に移行した。
靴下は短いままだが。
冬服を着た事により、"高校生"としての夏服は終わってしまった。
これから寒い日が続くから、きっと夏服は着ないだろう。
バイバイ、夏服。3年間ありがとう。
いつもより丁寧にハンガーにかけてクローゼットにしまった。