手に汗握る女達

今日は生徒会役員選挙だった。

私は委員会の関係で司会を任され、全校生徒が静かにしている最中進行をした。

今年は例の感染症対策で放送での進行だった。

 

今年の生徒会立候補者ならびに応援演説者は1年生が多く、みんな緊張していた。

台本を持つ手が震え、声が揺れ、涙を流す。

過呼吸を起こした生徒もいた。

全員命懸けである。

今年は立候補者が10人居て、その内会長と副会長が決起投票。落ちる人数は2人。

それから、信任投票とはいえ他の役職に立候補した生徒も気が抜けない。

緊張している子を見て緊張するという負の連鎖、落ちるかもしれないという恐怖、一言噛むだけで笑いが起きる教室。

それらのプレッシャーを感じながら、ほぼぶっつけ本番で演説を放送する。

 

7番目の演説が終わった。

立候補者と応援演説者がハイタッチをして退出していく。「頑張ったね」「ありがとうね」泣いている声で励まし合う声が聞こえた。

 

ここにはドラマが部屋いっぱいに詰まって溢れかえっている。教室で眠っている人はこれを知る由もないが。