脳内蹂躙するガール
最近、彼女である後輩のことをほぼ24時間思っている。気づいたら考えている。
今日だって持久走を走る時、ずっと彼女のことを考えて走っていたらタイムが一学期より5秒ほど上がった。愛の力というのは計り知れない。
最近じゃなくて最初から24時間思ってただろ、と言われると、人から見るとそうかもしれないが私の感覚ではそうではない。
なぜなら、最初はあくまで"後輩"であったし、毎晩のように彼女が夢に現れることなど一切無かったからだ。夢の片隅に出たかどうか、くらいだったのが今はずっと登場している。
私と彼女しか居ない家、街、プール、学校。
今日はエレベーターの中を一緒に落ちていった。
彼女は泣いていたり、満面の笑顔だったり、恥ずかしがっていたり。
「好きです」は毎回言ってくれる。
朝そんなふうな夢から目覚めて、放課後部活に行くと夢よりも可愛くて美しい現実の彼女が待っている。
こちらでも「好きです」は毎回言ってくれる。
寝ても醒めても 彼女、彼女、彼女、後輩。
この後頭部だって、何回見たことか。
「先輩、好きですよ」
今日もそう言って彼女は帰っていった。
彼女が帰宅してからも廊下から彼女の笑い声が聞こえる。帰宅してから10分くらい経ったのに、実際は吹奏楽部の楽器の音だというのに、それが声に聞こえるくらい、私の脳内は蝕まれている。